[PR]子育てママさんへ:3年毎に15万円うけとれる女性保険?

正面の大きな扉が開いた。
中にいた可憐が、花穂が、咲耶が、雛子が、鞠絵が、白雪が、鈴凛が、千影が、亞里亞が、
音を聞きつけて扉の前に殺到する。
扉のむこうには、兄がいた。
そして、彼のガードである衛、春歌の姿も。
彼は帰ってきたのだ。

「お...お兄ちゃん!?」
先に口を開いたのは可憐だった。
その後は、皆が言葉を失っていた。
数秒の間をおいて、切なげな表情の兄が言う。
「ごめんよ...僕の可愛い妹たち。どうやら、僕にはシンは倒せそうにないよ。
必ず、倒してくるって約束したのに...」
誰も、言葉を返さなかった。
兄は家の中の妹達の姿を見渡した。
...あれ?
ふと、兄は妹達の中に、四葉がいないことに気が付いた。
その刹那、兄の後ろから声が響く。
「...思った通りデスね。兄チャマが帰ってくるのは、四葉にはわかっていたデス!」
「!!」
兄は驚いて振り返った。その声の主こそ、ほかならぬ四葉であった。
「よ、四葉!?なんで僕の後ろに...」
「ん〜ふ〜ふ〜、兄チャマ気付かなかったデスか〜?
四葉はず〜っと、兄チャマの後ろにいて、兄チャマをチェキしてたデスよ〜。」
四葉は肉食獣の微笑みを浮かべた。
「兄チャマ...ずっと迷ってたデスね。
隠すことないデスよ〜召喚士はみんな、旅立つ時から迷いを抱えてるデス。
そして、大半の召喚士は、いつか迷いに耐えられなくなって
ザナルカンドに辿り着く前に旅をやめてしまうのデス!」
「ううっ...」
兄は言葉に詰まった。四葉は、ポーチからスフィアカメラを取り出した。
「みんな聞くデス!兄チャマは自分一人で悩みを抱え込んで、
ほら、ルカのホテルでも、マカラーニャの旅行公司でも、
部屋でひとりになった時、ぜ〜んぜん晴れない顔して溜め息ついてるデショ!」
「! あ、兄君様...ルカはともかく、マカラーニャでは
そのようなお顔は私どもには全くお見せにならなかったのに!」
「だ〜か〜ら〜四葉は言ってるデショ、兄チャマはぜんぶひとりで
抱え込んでたんデスよ!それが後になって抑えきれずに
どんどん表に出てきただけの話デス!」
「でも...お兄様は、なんでそんなに悩んでたの?」
「そこが四葉にもわからないとこなのデス。多分、究極召喚には
四葉たちが知らないとーーーんでもない秘密があると思うデスが...」
いぶかしげに、四葉がそこまで言うと
ただひとり嘆声もあげず黙っていた千影が突然口を開いた。
「...兄くんは、絶対に守れない約束をしていたんだよ。」
「へっ?」
一同がその言葉に注目し、静かになった。
「千影アネキ、どういう意味だよ!?アニキがシンを倒せなかったとは限らないじゃないか!」
「...ああ、倒せたかもしれない。
でも兄くんはその後に、帰ってくると言っていたんだよ...」
「倒せたら、やっぱりお兄ちゃまは帰ってくるよ!」
「...いや、それは絶対にないよ。
何故か知りたいかい...?
...
究極召喚を使ったら...兄くんは死んでしまうんだよ...!」
「!!!!!!!!!」
場が凍り付いた。
1、2分ほど、言葉が途絶えた。
「あ...兄君様?もしかして、御存知だったのですか...?」
兄はうつむいたまま黙っていた。代わりに返事をしたのは千影だった。
「ああ...私と兄くんだけは知っていたよ。
でも、私はもうひとつ知っているんだ。兄くんも知らない、究極召喚の正体を...」
「究極召喚の...正体?一体どういう意味ですの??」
「...知りたいかい。だったら...
その内容を、ここにいる13人以外の誰にも言わないと約束するんだよ...」
皆は真剣な面持ちで頷いた。
「究極召喚の祈り子は...召喚士のガードなんだよ。」
「!」
そこで一同が一瞬のけぞった。
「究極召喚は、絆の力...
究極召喚は、愛の力...
究極召喚は、魂の力...
召喚士とガードの揺るぎない結びつき、魂のすべてを使い尽くして生み出される
強大な力...それがシンの肉体を砕く力になるんだ...」
「...じ、じゃあ、ということは、ボクは...」
「ああ、そうさ。兄くんがシンを倒すためには、兄くん自身と、
衛くんか春歌くんかどっちかひとりを犠牲にしなきゃいけないんだよ...」
「.........」
数分の沈黙が流れた。その次に、
「バカぁ!バカバカぁ!ちかおねえたまのバカぁ!!」
と叫びながら、雛子が両腕を振り上げて千影に殴りかかった。
「どうして...どうしてそんなこと黙ってたんだよー!
おにいたまが死んじゃうなんて、ヒナぜーーーったいイヤだもん!!」
雛子の目から、湧き水のごとく涙が流れる。
千影は防御もせず黙ってパンチの応酬を受けていた。
「ううっ、う、うううぅ...」
殴りまくって疲れた雛子がうずくまる。
「くすん、くすんくすん...」
つられて亞里亞が貰い泣きをする。千影はようやく口を開いた。
「...私が何を言ったところで、兄くんは旅をやめなかったと思うよ...
それなりの覚悟をして、旅に出たんだから...
だけど、心のどこかに迷いや隙があるから、
兄くんはそのうち自分から旅をやめると睨んでいたよ...
...迷いは、外からもたらされたものより、自らの内で生まれたもののほうが、
大きな影響力を持っているからね。
私は、そのときを黙って待つことにしたのさ...
...兄くん。ようやく、自分の意志で旅をやめてくれたんだね...」
そう言われて、今まで黙っていた兄が一気にしゃべりはじめた。
「ああ、そうさ、僕はずっと迷っていたさ。
でも...でも、みんなには、シンのいない世界で安らかに暮らしてほしかったんだ。
たとえ、僕がこの身を犠牲にしても...そう思っていたよ。
だけど...
大きな剣を持った、真っ赤なコートのおっさんに迷いを看破されて、
それから僕は、前に進めなくなった...
キーリカで、僕と同じくらいの少女の召喚士の
決意に満ちた瞳を見て、それが決定打になった...」
びくっ!と、”大きな剣””真っ赤なコート”という言葉に反応したのは鞠絵であった。
「大きな剣...もしかして、その方は、腰に大きな徳利を下げていらしたのでは?」
少し間をおいて、鞠絵の問いに衛が答えた。
「うん。下げてたと思うよ。」
「でしたら...間違いありません。あの方は伝説のガード・アーロン様です。」
「「「えええ!?!?」」」
兄、衛、春歌はすごく驚いた。アーロンのことはよく聞いていたが、
その人相風体までは知らなかったのだ。
「きっとアーロン様は、
ブラスカ様との旅を経て、すべてを知っていらしたのでしょう。
だから兄上様のお心を御存知だったのだと思います。
...ところで、もうお一人、召喚士の少女は
どのようなお目をしていらっしゃいましたか?」
またも鞠絵が問い、衛が答える。
「悲しそうだけど、びしっとしてたよ。あと確か...
どっちかだけ青い目で、もういっこは緑色だったような気がする。」
「オッドアイ...!その方は、ブラスカ様の一人娘・ユウナ様です。」
「ブラスカの娘!?そういえば、ビサイド島にブラスカの子供がいるという噂を
チェキしてたデスが...あれだったのデスね!」
「...そうか、ブラスカの娘だったのか...
僕は、彼女を見たとき、シンを倒すのは僕ではなく彼女だという気がしたんだ。
もし僕が旅をやめたら、誰がシンを倒すんだろうと考えてて、
それで、僕は旅をやめようと思えなかった。
でも、今なら確信する。
シンは、そのユウナが倒してくれる。
僕が動かなくても、ナギ節はもたらされる。
そう思ったからこそ、僕はここに帰ってきたんだ...
...
.....
.......
ははは。
はははははは。
はーっはっはっは!
僕はなんてバカなんだ!
なんにも本当のことを話さないで勝手に旅立って、
勝手に負った使命をしまいには誰かに勝手に押しつけて、
勝手に帰ってくるなんて...僕はなんて勝手なやつなんだろう!
...そうだよ、僕はバカで、勝手で、卑怯なやつなんだよ!
ごめんな、みんな、こんなお兄さんで...
こんな...こんな僕を...こんなどうしようもないお兄さんを...
君達は許してくれるはずないよな...
ははは...は...はは...」
兄は膝を折り、手を床につき、顔を下へ向けた。
刹那の沈黙が場を支配する。
重苦しい雰囲気が漂う。
しかし、ほどなくして、これを破る一言が発せられた。

「...そんなことないよ、お兄ちゃん!」
可憐だった。

それを皮切りに、12人は次々と思いを解き放った。

「お兄ちゃんは、可憐たちを残して死なないで
可憐たちといっしょに暮らすことを選んでくれた...
だから、そんなお兄ちゃんは、大好きです!」

「バカなのはお兄ちゃまだけじゃないよ...
死ぬために旅に出たお兄ちゃまを応援しちゃった
花穂もバカだよ...ごめんね、お兄ちゃま。」

「ボクだって、これからもあにぃといっしょに
いっぱい想い出つくっていきたいんだよ...
あにぃ、ボクたちとともに生きよう!」

「お兄様がいなくなったら...私、
誰のためにきれいになればいいの...それなのに
死のうとするなんて...本当にバカなお兄様!」

「ヒナはおにいたまがいなきゃダメなの!
シンがいなくなったって、おにいたままで
消えちゃったら、ヒナ泣いちゃうもん!!」

「兄上様...私達を悲しませるようなことは
もうしないで下さい。兄上様がいてくれるおかげで、
私は絶望しないですむのですから...」

「姫のつくるゴハンは、にいさまのためですの。
にいさまがいないと、姫はおいしいゴハンが
つくれなくなっちゃうですの!」

「私にはアニキが必要なんだよ!
あったかーい援助をしてくれて、エボンの冷たい目からも
私の趣味を守ってくれるアニキがさ!」

「...いいじゃないか、兄くん、卑怯者でも。
私達への愛を貫くためなら、
どんな罪を犯したって、私は構わないよ...」

「兄君様を殺すためにお守りしていたかと
思うと、ぞっとします...私は兄君様に
死んで欲しくないからお守りするのです!」

「苦しみっぱなしの兄チャマをチェキするのは
心が締め付けられたデス...でもそのおかげで
兄チャマの心が晴れたなら、四葉は満足デス!」

「くすんくすんくすん...兄や...
亞里亞の王子様...亞里亞をのこして
死なないでくれて、ありがとう...兄や...」

「みんな.........!」

わあっ、と歓声をあげて、妹たち全員が兄に飛びついてきた。
兄は晴れがましい顔で立ち上がった。

「ありがとう、僕の可愛い妹たち...!
そうさ、僕が死ななくても、シンはいなくなる。
僕は、君達とずっと一緒に暮らせる。
あの少女が...召喚士ユウナ様が、ナギ節をもたらしてくれる。
そしたら、みんなでジョゼに行ってシパーフに乗ろう!
ルカのブリッツスタジアムで、試合を観よう!
ビサイド島の浜辺に行って、おもいっきりはしゃごう!
そうさ...僕は幸せなんだ。
君達といっしょにいられることが...
それ以上を望まなければ、僕達はずっと幸せでいられる...
今、それがようやくわかったよ...
君達が、それを教えてくれたから...
ありがとう...僕の可愛い妹たち...」

妹たちが、口々に小声でそれぞれの兄の呼び名を唱える。
満面の微笑みで兄の顔を見つめながら。

兄もそれに応えて満面の笑みを返す。
そして、天井を見上げ、大きく開いた手を高く掲げ、
ひときわ晴れがましい声で叫んだ。


「みんな、みんな大好きだーーーっ!!」





         劇終

[PR]看護師の好条件転職情報なら:転職成功させてハッピーな毎日♪